障害者福祉サービス事業所の指定申請の添付書類として、各都道府県の指定権者からは、必ず建築基準法の検査済証の写しを求められます。
通常、建物を建てた場合、最初に、行政の建設部署で建物の設計図が建築基準法上、適法であるかを確認してもらい、確認通知書を発行してもらいます。
そして、設計変更などはよくあることですので、実際に建てた建築物についても建築基準法上、適法であるかの検査を受け、検査証を発行してもらう必要があります。
平成20年代中旬以前は、法の取扱いが厳格でなかったようで、昭和や平成初期の建築物については、確認通知通知書しか発行してもらっていないものが、当たり前のように数多くあります。
しかしながら、完了検査というものは、工事が完了してから10日以内に検査を受けることとなっていますが、遡って検査を受けることはできません。
それに代わるものとして、北海道では申立書を作成を求められ、検査証等が添付できない理由を記載し、市町村役場との協議書などの添付も必要となる場合があります。
最終的にはどこまでの必要書類を求められるのかは、各指定権者の裁量となり、それぞれの取り扱いがありますので、それに従うこととなります。
以前の公務員時代に事業所の方からは、今まではそのようなことは言われたことがなかったとか、もう開設準備が進んでいるし、確認通知書があるからそれで指定は通してくれないかと言われたともありました。
また、今からそれに代わる書類を作成するには時間と費用がかかるとも言われ、どうにかならないものかと相談されることが多々ありました。
しかしながら、それがなぜ必要なのかということを考えなければなりません。
万一火事などが起きた場合、たとえ行政側の担当者が、指定の際に建築基準法や消防法検査完了の確認を怠っていたとしても、最終的に責任を問われるのは、違法な建築物を使用していた法人又は管理者となるのです。
当初開設でこのような費用の投資を惜しんだばかりに、何千万の賠償をしなければならないこともあるのです。
そして、その際に賠償保険に入っていなければ賠償額も多額となると経営は成り立たず、最悪、事業所の閉鎖ということになってしまい、利用者さんにも迷惑をかけてしまうことになります。
ですから、障害福祉サービス事業所を運営していく上で、障害福祉総合支援法だけでなく、他の様々な法律についてきちんと手続きを踏んでおくことは、最終的には法人又は管理者を守ることとなるのです。
行政は事業所を守ってはくれないのです。
それを十分に理解していただき、行政から指導されたからということだけでなく、法人代表者や管理者自らも基準等の法令についても日頃から目を通して勉強し、適法な手続きを踏むよう書類を整えるよう努めていただきたいと思います。